リペアを通じて楽器への愛情を知る。

本日はリペアのお話です。

皆さんは信頼できるリペアマンに愛器の調整をしてもらっていますか?

定期的に見てもらっている人、具合が悪くなると見てもらう人などさまざまだと思います。

さて、そのリペアとは、「調整」、「修理」、にとどまらず「復元」なんて域までカヴァーする方もいらっしゃいます。

あるリペアマンによって「完璧な調整」がされた楽器は、確かに楽器の状態は凄くいいんだろうけれど、
実際のフィーリングまで「その楽器を吹く人に合わせてくれている」かどうか。

さて、私はいいコミュニケーションをしてくださるリペアマンとお付き合いしたいので、
こちらにお願いします。

長谷川 仁 さん。

ハセガワ管楽器工房のマスターです。

こちら、人呼んで「学バンの応援団長」。

大学のフルバンを中心にサックスセクションの人が数多く頼りにする番長、
じゃなかった団長です。

卒業して社会人バンドに入っても頼りにする人が絶えないのは、お人柄が素晴らしい(気さくで腰が低い)ことと、
楽器への深い愛情があるからじゃないでしょうか。
そして、私が安心してお任せできるのは、
「吹く人の立場でその楽器の持つポテンシャルを極限まで高める」という調整の哲学。

私が思いますに、リペアとは吹き手の悩みに共感してくれることであって、

単に具合の悪い箇所を「直す」ことだけではないような気がいたします。
つまり、その楽器オーナーの希望をうまく反映してくれるかどうか。

例えば、「最近この辺の音が詰まるんです」
という悩みに対して、

楽器を慈しみながら、
「ではこのキーの高さをこのくらいにすると、
・・・こうなるので、
こうしてみようと思いますが、
・・・よろしいですか?」

みたいなこと。

これが、
「だめだねこりゃ、バネがイカレてる。タンポももうへたってるし、
や!この台座曲がってんじゃねーか、どんな使い方しやがった?
オーバーホールだね。完璧にしといてやるよ!」

という親方職人も信頼出来ないわけではないが、
一歩間違うと、
「初心者がガタガタ言うんじゃねー」ということになってしまう。

でもこれは、やっぱりちょっと不親切じゃないかなあ。

初心者の人
「これ、お願いします」


「ほらよ」


「あー良くなりました」
でいいですかね?

そういうドライなのが好きな人もいるかもしれないが、私はちょっとねー。

あと、出したい音の感じ、セッティングを含めた相談など。
そんな会話が出来るのもステキなリペアマンじゃないでしょうか?

あ、でもね。
今日の議題の本質はどちらのリペアが良くて、どこが悪いというのではありませんよ。

リペアに出すとき、どういう気持ちで出しますか?

我々「客(と言うのもおこがましいが)」の態度が大事なのです。

「無言」で楽器店へ送りつけたりしていませんか?
これはパソコンなどを修理に出すに等しいです。

「だってなんて言っていいかわかんないもん」

という人は、きっとテキトーにしか練習してないんじゃないか?

テキトーに吹く人は、テキトーな音しか出ていない。
そしてテキトーに修理されて、テキトーに満足する。

つまり、

「楽器への愛情が無い」

「良い状態になって帰ってきて欲しい」のだから持参できないときなどは、

一筆添えるのがマナーだと思うし、何より楽器のためです。

たとえば、
「最近低音が鳴り辛いのです。初心者なんですが
扱いが悪かったかもしれません。楽器を見て戴いて、
もしそのようなことがわかったら教えてください」

みたく。

こうすると、楽器をいたわってることが伝わるので
信頼できるリペアマンなら必ず個別の対応をしてくれるはずです。

そして、あなたは楽器といっしょに人間も「成長」するのです。

あー今日のはオヤジ発言だなあ!!