アルトとテナーは兄弟だっ。

お勧めCD:リー・コニッツ・ウィズ・ウォーン・マーシュ(紙ジャケット仕様)
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「アルトプレイヤーはテナープレイヤーと仲がよくないんですか?」
という質問をされて戸惑ったことがあります。

小編成のバンドの場合【いわゆるフロント2管バンド】の場合、音域の関係からトランペット+テナーの組み合わるケースが目立ちませんかね?
この場合、テーマの先発は高音域であるトランペットがその役を担うことが多いが、アルトであると(オヤジギャグを確認)その相棒はトロンボーン奏者が指名される。

トランペット+テナーはガツンとしたジャズになり、アルト+トロンボーンはまろやかなジャズになる(私の印象)。
トランペット+アルトだと少しケタタマシク「競争するか!」みたくなり、さらにレンジが上がる
ソプラノサックス+トランペットという組み合わせを聴くと、なんとも「炸裂した感じ」になり、バリトン+トロンボーンでは「大地の響き」を聞いた気になることもある。

さて、今回はリー・コニッツのご紹介なのですが、アルトサックス+テナーサックスが仲良く(かどうかは知りませんが)競演したアルバムを。

この頃のレコード(CDではありません)ジャケットデザインは大体中身を現しているものが多く、いわゆる「ジャケ買い」であまり損がない。

このジャケットでも若き日のコニッツが大口を開けて何か冗談を飛ばし、またこれも若いマーシュが
「またそのギャグかよ」といって苦笑している(本当か)図である。

レニー・トリスターノ派の忠実にな僕(しもべ)の印象があるコニッツですが、一方ウォーン・マーシュはどうやら「師の方針」が気に食わないらしく、「もっとホットにやろうぜ!」とコニッツを引っ張ってきて出来上がったのがこのアルバムです。ほんとうかなあ。

しかし二人の間には確固たる信頼関係があり、お互いの音楽を尊重する正しき人間の心が感じられます。こういう演奏を聴くと現代社会に忘れられた「心」が聴こえてくる気も致します。

リー・コニッツってクールジャズの難しい人でしょ、ととっつきにくいあなたはこのアルバムからどうぞ。

カッコいいスムースジャズもいいんですけど、そういうのばっかりじゃなくって、たまにはこういう昔の録音も若い人には聴いて欲しいと思う次第であります。