お勧めCD:ジーン・アモンズ「ジャグ」
日本ではイマイチ評価が低いというか、知名度が低いと言うか、なんでこんなイイ音楽をみんな聴かないのかな?と前から疑問に思っているんですよ。
ワタクシ、実はテナー奏者の中ではポイントをかなり高く置いています。楽器の巧さとか、そんなことではなくて、テナーサックスの音楽として上質なのですよ、安心して聴ける。
たとえば、夕方濡れ縁でとなりの熊さんと将棋をさしているとボス(アモンズのあだ名です。このアルバムのタイトル通りJUGというあだ名もあった)が舶来の葉巻をくわえ、テナーのケースを抱えてのっしのっしとやってきた。
「あー、ボスのお出ましだ」
「ほんじゃ聴かして頂きましょう」
てな感じで、井戸端でおかみさんの洗ってた白菜を横に押しやって即席の「高座」を設えます。
「おう、そんじゃ、ごめんなすってよ」と井戸端の柱に腰を寄りかけて「ブウォ~ン」とキズだらけのテナーから太く逞しい音を奏でるボス。
すると長屋の連中が音を聴き付け「お、ボスが来てんだね!」とワラワラ集まってきて、月が昇るとボスを中心に輪になってみんなでブルースを踊り出す。
そんな感じです。(様子、わかります?)
なんといいますか、独特な親しみがあるのですよ、それこそ頼れる親分だから。
アルバムの選曲も気を衒った所がないし、「アモンズに駄作なし」と昔のファンも言います。
変わり映えのしない音楽、と言ってしまえばそれまでですが、私は大好きなテナー奏者です。
彼の誕生日は1925年4月14日。ということで今月のアーチストはボスに敬意を表しフィーチャーいたしました。
一躍有名になったソニー・スティットとのバトルアルバムBoss Tenors: Straight Ahead from Chicago 1961もぜひ聴いてみてください。
「枯葉」がちっとも枯れてない
ご機嫌な演奏にあなたもノリノリのはず。
そして、彼の遺作となったのは74年のその名もGoodbyeです。
ボスが大きな背中にテナーを背負って、「じゃあな、あばよ」と天国への階段を昇って行く涙なくしては聴けないアルバムです。
生涯その無骨なまでのテナースタイルを変えなかったボス。今夜あたり、じっくり有り難く味わおうではありませんか。
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