ちょっとヤバイ五人組

本日は香港在住の90日講座会員Maikoさんによるライブレポートの投稿をご紹介いたします。

ぴろんぽろん…
ずんずずんずずんずずん…
てけてけてけてけ…
しゃんしゃしゃ~ん…ちちち…
たりらぱりらぴ~っぷぷ~…

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これは「Dr.スランプ」の則巻先生の所に居るがっちゃんの言葉ではありません。
キーボード、ベース、ギター、ドラム、サックスの音です。
個別に耳を済ませると特別な音の流れがあるでもなく…。でも、これが一緒に鳴ると「えっ?何これ?どうなってんの?」…2月10、11日に観てきたチック・コリア・バンドのコンサートの様子です(笑)。もう1ケ月経っているんですね。「先生にメールで感動をお届けしたい。」と思いながらすっかり遅くなりました。でも、コンサートでのプログラムを見てるとやっぱり思い出します。で、ドキドキしてきます!!

ワールドツアーの最中で香港はアジア3ケ国開催のうちのひとつ。日本からの移動だったみたいです。
チック・コリア(ピアノ、キーボ-ド)、ジョン・マクラフリン(ギター)、クリスティアン・マックブライド(ベース)、ブライアン・ブレイド(ドラム)…。

で、たりらぱりらぴ~っぷぷ~…とアルト・サックスを手にしてるそのお方はケニー・ギャレット!!
ドソドソ…ラレラレ…ミシミシ…ドドド~(インターバルの練習???)
ドレミファソラシド…ドミソミド~(スケールの練習???)
彼のサックスから出ている音のフレーズってばこんなのばっかり。

でも、これが他のキーボード、ベース、ギター、ドラムと絡むと練習のようなフレーズが曲?に化けるんです。他の奏者だって同じです。がっちゃん言葉が曲になるんです。

だいたい登場からして変?!でした。チック以下1人出てきた…2人目出てきた…ってな感じでばっらばら。みんなそれぞれ出てくる時に観客に向かって手を大きく振って挨拶。で、思い思いに音だしを始める…。で、誰も観客の方なんて向いていないし私(も他の観客もそうだと思う)はてっきり「準備」だと思ってたらだんだん音は大きくなっていくし…気がつけば「何何何???曲もうはじまってんのぉ?!」状態です。

演奏中にみんな「イェ~イ」「Wow」とか言ってるし、近くの人同士喋ってるし、途中でジョンはステージ奥に移動して

鼻かみだすし…。(花粉症か!)

ドラムのブライアンなんかはステージの間中「やんちゃな坊や」状態。がんがんドラム叩いてるんですが「お~い、坊や何があなたそんなに楽しいの?何がそんなにおかしいの?」ってな位満面の笑みではしゃぎっぱなし。

悪い表現ですがおじさん達全員「イッて」ましたね。はい、非常にヤバい感じです。
何かに憑かれているような感じです。各演奏者は曲の間に休憩状態?になる部分もあるのですが、ケニーなんかは会場のホールの上をぼぉ~(っとではないんでしょうが)っと見つめながらもその体はリズムにノるようなノらないようなゆ~らりゆ~らりと揺れっぱなし。「おいおいおい、ヤバいヤバいヤバい…。」です。
でも、大丈夫なんですね。音を出してなくてサックスを咥えていませんが…指がキーの上をずっと動いている。他の人と休まず一緒にプレイしてるんです!!

各曲のキーフレーズのようなものはあります。出だしと中間と終わりに全員で絡む…でもあとはみんなアドリブだと思います。あれが全部記譜されている曲だとしたら譜面は音符のつぶつぶで真っ黒になります。間に休憩が入って2時間弱の演奏。曲は都度タイトルが紹介されたのですが前半1時間、後半1時間ともに3曲。1曲辺り20分計算です。それぞれで出しと中間と終わりのキーフレーズ以外はず~っと「好き勝手」状態。でも、「好き勝手」では当然ない訳です。ギターとベースで絡む、そこへサックスがかぶる。ドラムはず~っと演奏をサポート状態でリズムを刻む。キーボードがちょこちょこっと粋に割り込む。と思ったらサックスが前へ出て来る。もちろん他は音を押さえつつも演奏は続いていてサックスを引き立ててます。ケニー同様本当に休憩に入ってもやはりどの方も手は動いてるんですよ。こんなのがノンストップで続く訳です。…圧巻。

ちなみに曲は、前半、Raju→The Sky→New Blues, Old Bruiseの3曲で、後半は、Senor
CS→The Disguise→Dr. Jackleと紹介がありました。

どうしてもケニーの演奏に目が行ってしまったのですが、ステージの5人ともそうなんですがとにかくブッとんでるというかイッてるというか…彼の奏でるフレーズだけをある意味冷静に聴くと「う~ん。」と思ってしまいます(私の理解力、感性の未熟さはここではどうしようもないので横に置いておきます。)。

でも、他の4人のメンバーの各人の音と違和感がないし、やっぱりかっこいいんですよ。「う~ん。」なフレーズが4人のメンバーの音にぴったり隙間なくはまってるというか、きっちりかみ合う、絡んでいるというか。ってことはある種の計算もあるのか?とも思うのですが。

いつもがんがん音が出てる訳でない。派手目なプレイでギターが前に出てきてるんだけれどその音の合間合間に何か「???」って音が小さい音ながらも「音ここにあり。」という音が耳に届く…その音がケニーの音であったりする訳です。もちろんケニーが前に出て…の場面もあります。で、どの音もやっぱりその瞬間そこに必要な音なんだというのが感じられる訳です。だって全体の雰囲気がやっぱりいいですから。

実際に計算があるとしたらケニーをはじめステージ上の5人の方々ってば2時間それこそコンピューター走らせっぱなし状態ってことですよね。でも、自然に自然にそれができてしまう、楽器を手にもったら計算だ、何だ考えずにオートでその計算が始まってしまう…なら「天然(コンピューター)?!」ってことですか?

結果的に2時間ちょっと(間に休憩が15分)なんですがあっという間でした。
2日間の公演でした。2日とも私は行ったのですが、2日目はサプライズがありました。

1日目の公演はアンコールはなし。会場も照明がすぐ点いてステージ上も現場スタッフが備品を片付け始めたりしたので観客も自然にさ~っと退散。

でも、2日目は会場の照明も点いて、片付けも始まって…前日と同じなんですが観客が違った。
なぜかみんな帰らないしずっと拍手拍子で「お願いもう一度出て来て~。」というお願い状態。…とチック以下みんなが再登場。大きく手を振り挨拶を。で、さようなら…。
こうなると観客は押せ押せムード。「せっかく出て来てくれたのなら何か1曲!!(あつかましいですね)」で拍手拍手。ただ、会場は明るくなってるし片付けはどんどん進んでいる状態。半分位の観客はあきらめてその場を去っていたのも事実です。

………。チック以下またまた出てきた。何とその時、ジョンとケニーはさっき首から外していたストラップをして出てきたのです。みんながそれぞれのポジションに。観客のアンコールに応えてくれるようです。

さぁ現場のスタッフが慌てた慌てた。引っこ抜いたコードなんかを急遽再度接続するハメに。
チックやジョンが「大丈夫かい?!」ってな感じでスタッフに目で確認してます。
観客も本来の自分の席なんて無視(…だって観客は半減してますから)。
ステージそばで立って見始める人も居たくらいです。

だいたいステージのセッティングが戻ったかなぁな状態の時にチックがキーボードで短いフレーズを奏でます。それにあわせるようにドラムがリズムを刻み始める、それにチックがまた新しいフレーズを重ね、ベースがのっかり、ギターがのっかり、サックスがのっかり…。5人5人が思い思いのフレーズやリズムを自身の楽器で紡ぎ出します。演奏事態は5分少々だと思いますが、鳥肌もんでしたね。私のすぐ横で見ていた白人男性は自分もドラムを叩くんじゃないでしょうか、すぐ前に誰も座っていないのをいいことに、「エアー・ドラム(笑)」状態で5人と一緒にプレイしていました(ご本人はしているつもりでしょう)。

帰ってしまった観客の方々にとっては大きな損失ですよ…これは。
楽しかったです。

そうだ、ケニーが足を怪我したのか(もともと悪い方ではなかったような)、左足の膝を時折さすっていました。歩くときもちょっとひきずり気味に歩いていたんですよね。辛そうな様子ではなかったですけれど。

しばらくサックス奏者のコンサートはないかなぁって感じです。でも、コンサート情報まめにチェックしてどなたかがいらっしゃるなら観に行こうと思っています。やっぱりライブはいいですね!!

Maikoさん、いつも有難うございます!
ギャレットファンは世界中でどんどん増えているみたいですね。先日もある受講生の方とお会いしたらやっぱりギャレットファンで、なかなか音も「G党」しておられました。

ということで今月のサックスアーチストはケニー・ギャレット。

コアな情報がダントツのファンサイト掲示板はもちろんチェック済みですよね!


K.G.Maniax!!