秋の夜長にしっとりな「低音」を。


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お勧めCD:ナイト・ライツ/ジェリー・マリガン


クレームをいただきました。

「おまえ、アルト吹きかなんだか知らんが、
テナーはおろかバリトンの紹介がまったく無いじゃないか!」

仰るとおりでした。

申し訳ございません。

バリトン・プレイヤーの方もお眼に留めていただいていることは、
認識不足で誠にもってお詫びの言葉もございません。

さて、
急に終らすな(怒)

バリトンといえばまずこの人であります。

私、この方は『生』を拝聴しております。

1982年の夏、忘れもしない

『バドワイザー・ニューポートジャズフェスティバル・イン斑尾」

あれが、「夏といえばジャズフェス」のスタート地点だったかもしれません。

勿論そのあと86年からはじまる「マウントフジ」は毎年欠かさず足を運びましたが、
この「マダラオ」は強烈に脳裏に焼きついております。

夏の高原に土砂降りの雨が降る中、スパイロジャイラの
「モーニングダンス」で総立ちで踊り狂った学生時代の一コマ。

いけね。今日はマリガンでしたね。

その夜、ジャムセッションで目の前で動くジェリーマリガン。

そりゃ、動くわい(怒)

その頃は私はフュージョン小僧だったので、
はっきり言って震えるほどの感動は無かったのですが、
でかいバリトンがテナーぐらいにしか見えなかった感じがします。

背が高くやけに足が長くって、私なんぞは彼の股の下をアルトを担いで行ったり来たり出来そうでした(やってみろ)。

で、こちらのアルバムであります。マリガンをこのサイトでご紹介するなら、まずチェット・ベイカーとのユニットをもって来るべきか迷いましたが、最近急に朝晩涼しくなって、秋の夜長に聴く向きにはこちらがお勧めかと存じまして、はい。

バリトン奏者の方にはまたまた申し訳ないのですが、
マリガン氏、タイトルチューンではピアノに専念。

でも、これが美しい。

他の曲もゴリゴリのジャズではなく、ボッサやショパン(あのピアノの詩人ですよ!)なども取り上げて、いわゆる「聴きやすい」アルバムですから、ジャズの入り口に立とうとする若い方も十分楽しめると思います。

3管のフロントはトランペット、バリトンサックス、バルブトロンボーンと重量級を想像しますが、サウンドは極めてソフト。こういうのを大人のジャズといいます。でも中学生も十分親しんでよろしい!

近年、でかい音と早吹きの音数で張り合うフロント諸兄に、是非こういう「節度ある」演奏でご自分を見直していただきたいと思うわけであります。

ねえ、バリトンの先輩、いかがでしょうか?

(ト書き : ニヤッとして静かに頷く)